2022/09/30 【カルチャー情報】
英国のエリザベス女王が亡くなり、世界各国に荘厳な葬儀の模様が配信されました。聖堂内の装飾や司祭の式服など、日本ではあまりなじみのないキリスト教の葬儀の模様に目を奪われた方も多かったのではないでしょうか?
英国の「イギリス国教会」は16世紀のイングランド宗教改革により成立した、英国国王を首長とするキリスト教の教会です。ですから女王の葬儀もキリスト教の葬儀のしきたりにのっとって執り行われました。
<キリスト教の葬儀の特徴>
キリスト教の葬儀は、カトリックではミサ、プロテスタントでは礼拝の形式をとります。
司式は神父(プロテスタントでは牧師)が行い、通常のミサや礼拝と同じように祈りや説教、讃美歌の時間が持たれます。
日本の多くの葬儀は仏式や神式で執り行われます。これらと最も違うのは、多くのキリスト教の葬儀では讃美歌が葬儀中に歌われることです。今回の女王の葬儀でも美しい歌声が流れました。参列者全員で歌うこともあれば、聖歌隊が奉唱することもあります。
仏式の葬儀のように線香を供えることはなく、白のカーネーションやバラを献花します。
またキリスト教では本来お香典の概念もありませんが、日本での葬儀の場合は「お花料」として受付で渡すことが多いようです。
讃美歌や祈りの際に参列者が起立をしたり、祈りを全員で唱えたりと仏式とは勝手の違う部分もありますが、司祭や司会者などが促してくれます。
<故人を偲び、感謝をする心が大切>
基本的にキリスト教では、亡くなると「天(の神様のもと)に召される、天に帰る」という考え方ですので「ご愁傷様」や「哀悼の意」というような言葉は使いません。「ご冥福を祈る」というのも「冥途での福」なので本来は仏式の言葉です。
しかし、こうした言葉は昨今では葬儀のときの慣例となっており、参列者が使ったとしても注意されるようなことはありません。
また故人への献花の際も、ご自身がクリスチャンでなければ十字を切るなど、キリスト教式の拝礼をする必要もありません。ご自身が故人を偲び、感謝をする気持ちをもってお祈りを捧げてください。
服装や持ち物は仏式の葬儀と変わりません。数珠は仏具なので持参する必要ありません。
日本ではあまりなじみのないキリスト教式の葬儀ですが、大切なのは故人を大切に思い、ご遺族を慰める心です。これはどのような宗教でも同じです。