2021/03/24 【明日を楽しむレシピ】
首都圏の緊急事態宣言も解除され、桜開花の知らせも北上しつつあり、コロナ禍の重苦しい気持ちも少しほぐれてくるような春の訪れです。
もちろんまだまだ油断がならない日々が続きますが、それでも花々が咲き誇り、小鳥たちがさえずる春は気持ちも明るくしてくれます。
一年以上続いているコロナ禍の中で、私たちの心に根差したのは、感染への恐怖もさることながら、明日がどうなるのだろうか、健康は?仕事は?収入は?といった心配事だったのではないでしょうか?見えない敵はウィルスだけでなく、こうした未来への漠然とした不安や恐怖心であるともいえます。
さて、仏教では、人は目に見えないものに対して、常に5つの畏れ「五怖畏(ごふい)」を抱いているとされています。それは以下のようなものです。
不活畏。食べていけなくなるのではという畏れ。
悪名畏。周囲から悪く思われないかという畏れ。
大衆威徳畏。「世間は自分のことをどう見ているのか?」という畏れ。
命終畏。死への畏れ。
悪趣畏。自分の居場所を失い、地獄のような生活になるのではないかという畏れ。
外出が自粛され、引きこもりがちな生活の中で、誰でもこんな不安が頭をもたげていることでしょう。しかし、いずれも実際には起きていないこと、今すぐそうなるという確証もないのに勝手に自分の心が思い込んでいる恐怖や不安です。
自分の力でどうにもならないことを思い煩い、心配し、暗く過ごしてしまう。誰かを羨んだり恨んだり、人のせいにしたくなる。そんな気持ちが心を支配してしまっては、それこそウィルスでなくて「病んで」しまいます。
何かにびくびくとすることなく、自分は自分なりに精いっぱい生きればよい、と教えてくれているのが、春にうららかに咲く花や、生き生きとさえずる小鳥たちなのではないでしょうか?
もし漠然とした不安が心に生まれたときは、ぜひこの五怖畏を思い出して「もっと人生を楽しもう!」と自分の心に念じてみてください。
気持ちの良い季節、ぜひ人混みを避けて春の息吹を感じ取ってください。