2013/07/23 【お墓と供養】
日本人は昔から悪いものを追い払うために、塩を用いて清めるという慣習があります。神事では、必ずと言っていいほど塩が供えられています。また、店先や玄関に塩を盛り、清めや商売繁盛の習慣として今も受け継がれています。葬式の時に撒くお清めの塩も、日本ではポピュラーな習慣です。ですが、清めに塩を使うといっても、亡くなった人をお祓いする意味合いのものではありません。お清めに使われる塩の意味について見てみましょう。
お清めの塩は何を払っているのか?
葬儀に出席した後に、自宅の玄関先でお清めの塩を体にかける習慣はどういった理由があるのでしょうか。よく意味を知らずに、ただの習慣として行っている方も多いのではないでしょうか? これにはちゃんとした意味があります。お亡くなりになった方のお祓いのために塩をかけるわけではないのです。
昔から人は死を恐れてきました。化学がまだ発達していない時代、人は病気や死を目は見えない邪気の仕業と考えていたのです。これは神道にまつわるもので、恐ろしいものの象徴である死を穢れ(けがれ)と考えてきました。神道では穢れを祓うものとして、浄化や殺菌として使われてきた塩を用いてきたのです。穢れを祓わなくては、日常の生活には二度と戻ることができないとされていました。汚れなどと同じように、穢れは外からやってくると考えられ塩を用いて祓われ続けてきたのです。
ですから葬儀などの帰りには、玄関を入る前に外で塩を肩などにかけ、この穢れを祓うようになりました。地方によっては、葬儀場の出口に塩が敷き詰められ踏むことによって穢れを祓うという風習があるところもあります。
塩で穢れを祓うようになった由来とは?
その昔、海は神の住むもう一つの世界と考えられていました。清めとは本来、海に身を沈めることで不浄のものを祓うとされてきたのです。「古事記」にも伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が、海水で禊祓い(みそぎばらい)、清めをしたとの記述があるように、不浄のものを祓うのに海に身を沈めるのがそもそもの始まりでした。その後、簡略化され、海藻に体を巻いて海に入ったことにしようという考えが生まれ、もっと簡略化され塩ということになったのです。
宗教にもよりますが、塩で穢れを祓う必要はないとしているところもあります。それぞれの事情もありますので、ご自身の考え次第で使用する、しないを選択するといいでしょう。必要ないという意見もありますが、葬儀の後にお清めの塩が配られることも広く慣習化されています。